イベントの内容
仙台市出身の美術家、みはらかつおの個展。
『千年景 仙台 2021』に寄せて
「哀しみこそ放っておけない」
これは以前、東京の博物館でひとつの縄文土器に惹かれじっと見入っていた時に、不意に脳裏に浮かんできた言葉です。この言葉の意味するところも出処もはっきりしませんが、目の前の土塊が発する声無き声を受け取ったのかと、戸惑いつつも興奮したことを覚えています。
縄文の造形は謎も多く理解も難しいのですが、そのただならぬ醸す気と佇まいが、数千年後を生きている私の心を揺さぶり、このような言葉を思い浮かばせたとしてもなんら不思議ではなく、造形とはそういうものかと頷くばかりです。
時を経たからこそ纏うプリミティブな素朴さ力強さ、ノスタルジックに漂う匂いが一層強くそう思わせるのかもしれませんが、人はなぜモノを作るのか、その理由はすでに縄文に現れていると素直に腑に落ちたこの感覚を大事に、これからも造形していきたいものです。
今個展では、仙台近郊の地図の中から何らかの気配を予感した地点を選び、何らかの気配とは何なのか、『千年』(ちとせ)の言霊も意識しながら模索した作品、約20点を展示いたします。
2021年8月 みはらかつお