若手アーティスト支援プログラムVoyage かんのさゆり・菊池聡太朗展 「風景の練習 Practicing Landscape」

若手アーティスト支援プログラムVoyage かんのさゆり・菊池聡太朗展 「風景の練習 Practicing Landscape」
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カテゴリ:アート・展示会
開催終了
イベントの内容
2021年2月6日(土)~3月28日(日)
月曜休館

塩竈市杉村惇美術館 企画展示室
開館時間:10時~17時(入館受付は16時30分まで)
観覧料(企画展+常設展セット):
一般500円 大学生・高校生400円 中学生以下・メンバーシップ会員無料
※各種障がい者手帳を提示された方は割引。

若手アーティスト支援プログラム「Voyage」とは、これからの活躍が期待される若手アーティストの可能性に光をあて、新たなステップを提供することを目的に、展覧会を中心としてトークやワークショップなど多様な表現の機会を設ける事業です。これまで、多くの人々にとって新たな才能や感性と出会える場となるよう毎年度ごとに異なる作家と共に取り組んできました。展示制作にかかる費用の一部のほか、企画や広報などに関する支援を通して、地元にゆかりのある若手アーティストの意欲的な表現活動をサポートし、発表の場を提供します。

 6回目を数える今回は、公募により選考された写真家・かんのさゆり、建築/美術作家・菊池聡太朗のお二人をご紹介します。
 かんのは、今では誰もが手軽に撮影できるデジタルカメラを用いて大学在学中の2000年代初頭から写真作品を制作しはじめ、現代日本の都市空間の奇妙さとその中で生きる人々の光景を主なテーマとしています。今回の展示では自らの暮らす地方の住宅地への視点を中心に、震災後各地で続く復旧・復興工事や、宮城県内の沿岸部や内陸に広がる風景を撮影し続けています。刻々と移り変わっていく風景の変貌を見つめ、記録し続けるかんのならではの鋭い視点から生まれる作品は、常に対象の表面を鮮明にとらえようと試み、風景からこの時代の心性と人々の動向までを映し出そうとしています。
 菊池は主に風景のドローイングや石・木などの立体物、建築素材を用いて、作品・空間との出会い方や経験を変化させるようなインスタレーションに取り組んでいます。菊池は2018 年に、留学先のインドネシアの古都ジョグジャカルタで、即興的な増改築が繰り返されている、とある家に出会います。設計者の死後も、そこに住み、活動する人によって手が加えられる特異な内部空間を持つ家で、その空間性や変容の痕跡を記録するフィールドワークを行いました。そうした観察を通して作品を制作し、一見閉じられた室内の風景や個人的な経験をその外側の空間や社会へ広げ、繋ごうとする立体的な表現の試みを重ねています。
 本展のような一定期間しか開かれない展示自体もまた仮設の空間であり、様々なことを試み、実践する練習の場でもあります。
 本展では、かんのによる、仙台近郊や石巻、閖上、女川などの沿岸地域で撮影したここ数年で現れた風景、新しい住宅地を中心とした写真作品と、菊池による日本から6,000km離れたとある家についての考察に、塩竈やその周辺地域を訪ね歩き出会った素材を加えたインスタレーションを、「風景の練習」というテーマのもとに構成し展示いたします。
 戦後の公民館としての歴史を持つ、塩竈市杉村惇美術館という場所性への新たなアプローチを模索した今回の二人の表現から、先行きの不透明なこの時代において、現在、そしてこれからの「風景」についてともに思いをめぐらせ、学ぶ機会になれば幸いです。
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